当ブログにおいて、確定拠出年金(主に個人型)について度々書いておりますが、それらで述べた問題点を、加入者としての立場も踏まえて整理してみました。
1.導入
(1)投資教育
確定拠出年金制度を知る前に、投資知識をある程度知らなければ、「さあ、自分で運用してください」といわれても対応できるはずがない。
(2)制度自体の理解
企業型の加入者数は約200万人、個人型が7~8万人という規模であるが、本当に理解している人は、少数だと考えられる。特に企業型の加入者の場合、会社から手渡された書類をただ書いただけで、内容まで把握できていないケースが多い。転職者の6割が手続きを放棄している現実がそれを象徴している。
2.運用
(1)拠出
拠出限度額が低い。特に、私のような個人型に加入するでサラリーマンは月額上限が18,000円。この水準では、毎月の手数料が相対的に高い水準になる。企業型においては、従業員も拠出を行えるいわゆる”マッチング拠出”の導入が必要との声も。
(2)商品切替
自分で商品を切替を行って初めて分かったことだが、その手数料が意外に高かった。積み立て残高が少ないうちに頻繁に切り替えると割高になる。この点も、最初にしっかり制度や商品を理解していれば、防げたこと。私が利用する運営管理機関は、この手数料が明記されていないという問題も。
(3)運営管理機関
企業型の場合は、実施主体が企業であるため、加入者に運営管理機関を選ぶ余地がない。企業は、加入者のために手数料や商品構成を考えて運営管理機関を選ぶ必要がある。
個人型の場合は、どの運営管理機関を選ぶのかが、非常に重要であるが、選択肢は多いが、選ぶための判断材料が少ない。
(4)特別法人税
平成20年3月末まで凍結されているが、加入者の多くは元本確保型で運用しているため、凍結解除後は元本割れを引き起こす可能性がある。
3.退職、転職
(1)手続き
1の導入でも述べたが、確定拠出年金制度自体が複雑(そうに見える)ため、転職者の6割が放棄という現実がある。放棄というよりも、手続きが必要なこと自体を知らないことが結果放棄となっている。
(2)運用指図者
加入資格を喪失(第3号被保険者)になると、運用指図者として、拠出を行わずに積立資産を運用のみ行うことになるが、当然その手続きも行わなければならない。条件によっては(加入3年以下もしくは資産残高50万円以下等)、途中解約ができるが原則60歳になるまで、引き出せない。この条件緩和が必要。米国401Kでは、ペナルティーを支払った上で中途引出し可能とのこと。
また、運用のプロでもないのに、追加拠出機会なしで60歳まで運用しろというのもなんだか不安。
4.給付
(1)脱退一時金に関しては、上記の通り、制限の緩和が望まれる。
現時点では、以上のようなことが考えついた論点です。今後も修正・追加等行っていく予定です。
私の投資信託による運用の状況と、投資信託全般の話題についてのブログです。
2007-04-30
確定拠出年金 論点整理メモ
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2 件のコメント:
この記事は勉強になりましたよ。
特にスイッチ時の手数料は盲点ですね。今度僕の会社でも導入されますが、かっこよく質問してみたいと思います。
しかし、確定拠出年金までがこうも問題を抱えるようではお先真っ暗ですね。今の年金システムは止めるに止めれず破綻に向けてみんなで突っ走っている気がしてなりません。ハーメルンか、はたまた自転車操業か…
ゆうちゃんパパさん、いつもありがとうございます。
企業型の場合は、加入者本人ではなく会社が拠出しているため、個人の意識が薄れてしまう可能性がありますね。わたしも会社を辞めるまでは、なにも意識していませんでした。
会社側がその運営管理機関をなぜ選んだのかを聞いてみるとおもしろいかもしれません。
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