「安定した収益の確保と信託財産の成長を目指して運用を行います。」
毎月分配型など分配頻度の高い投資信託の目論見書にはこういった文言があります。この「安定した収益の確保」って何を意味しているのでしょうか。
毎月分配金をもらっていることから収益確保してるんじゃないの?と考えることも可能なんですが、確かにキャッシュを確保してはいるのものの、それを収益と呼ぶには違和感があります。
安定的な収益の確保=分配金を出すならば、信託財産の成長はそれほど期待できません。内部留保を次の成長のために投資することが出来ないですから。
投資信託の本来目指すべきは、将来の信託財産の成長を目指すことだと思うので、組入れ資産のキャピタルゲインやインカムゲインは、分配の形で吐き出すのではなく、ファンド内部に留保することで成長を目指してほしいです。それが安定的な収益の確保と言えるのではないでしょうか。
今日の日経新聞朝刊、大機小機の欄「投信の光と影」を読んで、ふと思ったことでした。
私の投資信託による運用の状況と、投資信託全般の話題についてのブログです。
2007-08-31
安定した収益の確保と信託財産の成長を目指して
2007-08-29
ここ2ヵ月の金ETF騒動
東証が来春にも現物の金と交換可能な金価格連動ETFを導入するというニュースはすでにご存知かと思いますが、これを聞いて、「あれ?」って思った人いませんか?
なぜ「あれ?」って思ったのかを、ニュース記事を並べて説明します。
(フジサンケイビジネスアイより)
2007/07/02 金連動型ETF見送り 東証
2007/07/18 大証が国内初 来月、金連動投信を上場
2007/08/28 東証ETF上場計画…来春にも初の金投信、現物交換も
7月2日の記事では、今秋施行の金融商品取引法(金商法)では、現物の金と連動する商品を対象外となることにより、東証は金ETFを見送ったという経緯が書いてあります。
7月18日の記事では、大証は、その問題を金価格に連動する債券を組み込むことで上場を可能にしたというものです。
そして、8月28日の記事では、9月末の金商品法が施行されるのを機に、金など現物商品で運用する投信が解禁されると説明されています。
つい先月まで駄目だったものが、今月になって方針転換されるなんて不思議なものですね。この2ヵ月でどんな変化があったのでしょうか。
ちょうど、本日の日経新聞の近畿経済面に、それを説明してくれる一文を見つけました。
<引用>大証の動きは証券と商品を融合する「総合取引所」構想を模索する政府を刺激。これまでかたくなに拒んできた現物の金と交換できる投信を容認、来春には東証も金ETFを上場する見通しになった。</引用>
大証が既存の規制にとらわれない取り組みをしたことで、規制をなくしたのですね。さすが大証。これからもデリバティブの大証として東証ではなく世界を相手にがんばってほしいところです。
2007-08-28
ドゥー・イット・ユアセルフ
投資信託の制度や仕組みを調べる際に使っている、
『投資信託―基礎と実務』(田村威、2003年、経済法令研究会)という堅い本があります。
その中に「解約率はなぜ高い」というコラムがあります。
それによると、日本の投資信託は解約率が高い理由が、販売会社のセールスが乗り換えを勧めるからという販売性悪説だけではなく、自分の判断で投資する人が少ないからでもあるとの指摘です。1995年(ちょっと古いですが)の米国投信協会の調査では、過去5年間に投信を購入した人の52%は、ドゥー・イット・ユアセルフ(自分で調べて自分で決める)投資家で、38%がパッシブ(人の意見に従って決める)投資家だそうです。
自分で判断できないから、販売会社につけいる隙を与えてしまうと言い換えることが出来そうですね。自立した投資家が増えれば、解約率は確かに減るかもしれません。そこにオンライン専業の証券や銀行が飛躍できるチャンスがあると思います。その点で、ネット証券やネット銀行が、自立した投資家を増やすための啓蒙活動をさらに活発化させることを期待してます。
2007-08-26
大手銀行 店頭とネットの販売手数料
本日の日本経済新聞15面の「くらしナビ」に、
「ネット専用投信、増えたが」
という記事が載っていました。
それによると、大手銀がネット専用投信を拡充しているが、販売手数料を割り引く動きが広がっていないそうです。品揃え的には、リスクの高い新興国投信などが中心とか。
大手銀がネットで投信を買えるようにしているのは、それによって収益拡大を狙っているというよりも、「一応ラインナップを揃えていますよ」というスタンスを示したいからなのでしょう。そのうえで、あくまでも店頭での販売をメインに稼ぎたいというバランスを保っているわけです。
このバランスは絶対に崩すわけにはいかない。販売手数料をさほど下げずにかつ品揃えを限定することにより、店頭で説明を受けて「じゃあネットで買うわ」という行為を商品・手数料の面で防ぐことが出来るわけです。家電量販店でさんざん説明を聞いて、家に帰ってネットで購入という構図と同じようなことですね。
店頭で扱っている商品と同じものをネットで扱うと、必然的に「なぜ販売手数料が同じなんだ」という声が出てきますし、その声に応じて手数料を引き下げると、多くの社員を抱える銀行はコストをカバーできなくなる。だから、そのバランスを保ち続ける必要があるのです。
多くの人件費がかかる銀行にとって、この作戦はある意味当然で正解とも言えるわけですが、将来的に自立した個人が増えて、店頭の顧客が少なくなれば、その次にはネットに注力して自分の銀行自体からお金が出て行くことを阻止しなけらばならなくなるでしょう。
しばらくはこのバランスが崩れることはなさそうですが、コスト面で優位に立っているはずのネット証券やネット銀行についても、まだまだ努力が伝わってこないと感じるのは私だけでしょうか。
2007-08-23
郵政公社民営化後の投資信託
2007-08-17
投資家向け情報拡充の原資ってどういう意味?
Klugというサイトに、「ネット証券の戦略変更を示す社長コメント」という形で、ブルームバーグに出演した際の松井社長のインタビューについて書かれていました。
その中に、
8月16日、ネット証券大手・松井証券の松井道夫社長は、ブルームバーグ・テレビに出演し、準備中の投資信託の販売について、投資信託で得られる手数料収入を投資家向け情報を拡充するための原資とする方針を明らかにしました。
という部分が。
これってつまり、低い手数料では参入しないってことですか?具体的なことは記事からは読み取ることができませんでしたが、2001年当時の考えとはすこし違うようです。
はやく全貌を知りたいところです。
ところで、「投資信託の手数料革命を目指す」と今年4月に設立されたSBIファンドバンクはその後どうなったのでしょうか?
早ければ来年の通常国会に
フジサンケイビジネスアイ 65%が本人拠出求める 401k改正で企業調査
という記事が載っていました。
その中に、
確定拠出年金法は施行後6年目を迎えており、厚生労働省は早ければ来年の通常国会に改正法案を提出する見通しだ。
という記述がありました。
具体的なスケジュールをやっと知ることができました。
改正の論点はほぼでそろっていますので、あとは、それらを変えるのか変えないのかだけですね。この法案で与野党がもめることはおそらくないでしょう。
当ブログでの関連エントリ
2007/08/09 改正まだかなー
2007/04/30 確定拠出年金 論点整理メモ
2007-08-15
直販残高比率
相互リンク先のrennyさんが、低コストで長期投資を実践する投信を販売・提供できるのは誰かについて、直販&独立系投信会社が本命だというエントリを公開されていたので、投信会社の直販について調べてみました。
投信会社による直接販売は、92年に認められたのですが、99年頃までは増加(全体の3~4%程度)していたようです。現在どうなっているかというと、2007年7月末時点では、投信会社による直販が、公募株式投信全体の純資産残高に占める割合は、わずか0.7%。金額ベースで4,548.67億円となっております。
しかも、純粋に一般個人向けに直販を行っている、さわかみ投信、ありがとう投信、セゾン投信の7月末時点での純資産残高合計は、2,764億円ほどですから、残りの1,784億円は法人や機関投資家、大口個人向けということが推測されるため、一般個人向けの直販残高比率で考えれば、0.4%ぐらいになります。
この直販残高比率の低さが、既存の銀行・証券のすさまじい販売力を逆に証明しているようです。今後、自立した投資家が増えていけば、この比率は変化していくのでしょうが、まだまだ道のりは険しいようです。
rennyさんがおっしゃるように、直販&独立系投信会社の利用が伸びていくのがいちばん望ましいのかもしれません。個人的には、ネット証券・ネット銀行に「もっと努力できるんじゃないの?」と言いたいところです。昨日も述べたように、彼らは意外に横並びしてますから。
2007-08-14
それで松井証券のその後は?
今年6月14日のフジサンケイビジネスアイの、「ネット証券、投信販売を強化 「相場頼み」脱却目指す」の中で、
松井証券は株の仲介業だけを行う方針を転換し、投信販売の検討を始めた。
という一文が気になり、 松井証券の戦略は? というエントリを書いたのですが、その後どうなっているのでしょうか?
松井証券のWEBサイトで、7月27日付けの「平成20年3月期 第1四半期決算報告資料」の中で、今後の取り組みの中では投信については全く触れられていないようなので、気がかりです。
ところで、YOMIURI ONLINEにおいて、2001年6月当時の松井道夫・松井証券社長へのインタビューを見つけました。その中で、投資信託について、
投資信託の改革をしたいですね。いま当社では投資信託を取り扱っていません。自由化の少し前、投信の販売手数料が横並びなのを疑問に思ってアピールしたところ、投信が扱えなくなった経緯があるんです。証券会社にとって投信の手数料収入はばく大だで、それを引き下げしようとして嫌われたわけですが、ネットで手数料0・1%が可能です。投信ももっとネット取引される時代がやってきます。
と語っておられました。
当時とは状況が異なるかもしれませんが、投資信託の改革を期待したいです。
投資信託市場において、従来型証券とネット証券という競争は激化していますが、ネット証券同士の投信の競争はまだまだ足りないような気がします。なぜか手数料が横並びだったりしますから。
2007-08-10
ハイブリッド・セレクション月次レポート(8月)
2007-08-09
改正まだかなー
確定拠出年金法の改正への動きが進んでいるのかどうかが気になってます。
そこで、
厚生労働省>審議会、研究会等>その他(検討会、研究会等)>年金局>企業年金研究会
をチェック。
「企業年金制度の施行状況の検証結果」という資料がアップされていました。
その中で私が気になった点をメモしておきます。
特別法人税について
・企業年金関係者から給付時課税を徹底することにより撤廃すべきとの要望があるが、この場合、公的年金等控除等の見直しが必要となり、多大な影響。
・特別法人税は存置しつつ、厚生年金基金のように一定の基準を満たした企業年金を非課税とする方法もあるが、具体的基準の内容によっては、非課税となる企業年金は少数となるおそれ。
・平成19年度まで凍結中であるが、仮に課税となると確定拠出年金については元本割れのおそれがある等の問題があり、税制の抜本的改革が行われるまでの間は、企業年金を取り巻く諸状況も踏まえ、凍結措置を継続すべき。
加入対象者について
・第三号被保険者のあり方については、公的年金制度においても、なお継続的な検討課題とされており、公的年金制度における第三号被保険者のあり方に係る検討状況も踏まえながら、引き続き、検討。
拠出について
厚生年金基金、確定給付企業年金等他の企業年金制度では、個人拠出を認めており、また、若い世代を中心に拠出限度額に対し事業主拠出は低い水準となっており、老後の所得確保等の観点から、個人拠出を認める考え方に立って、具体的なあり方について検討すべき。
論点整理の段階なので、改正に向けてはまだまだ時間がかかりそうですね。詳しくは上記Webサイトをご覧ください。
2007-08-08
7月は、年金積立インデックスF海外債券が1位。
何気なく、投信スーパーセンターの7月の「売れ筋!投信ランキング」をチェック。
第1位
年金積立 インデックスF海外債券(なし)
第2位
ニッセイ/パトナムグローバル好配当株式
第3位
年金積立 インデックスF海外株式(なし)
第4位
DIAM世界好配当株オープン(毎月決算)
第4位
HSBCブラジルオープン
だそうです。
投スパさんは、8月に入って、他の年金積立シリーズである
年金積立 インターナショナル・グロースF (愛称:DC Iグロース)
年金積立 インターナショナル・ボンドF (愛称:DC Iボンド)
積立ベスト・バランス
年金積立 Gラップバランス(安定型)(愛称:DCグローバルラップバランス安定型)
年金積立 Gラップバランス(安定成長型)(愛称:DCグローバルラップバランス安定成長型)
年金積立 Gラップバランス(成長型)(愛称:DCグローバルラップバランス成長型)
年金積立 Gラップバランス(積極型)(愛称:DCグローバルラップバランス積極型)
年金積立 Gラップバランス(積極成長型)(愛称:DCグローバルラップバランス積極成長型)
もノーロード化したようです。
やっぱり日興アセットの投信がノーロード化しやすいのかも。
ノーロード化といえば、私の持つハイブリッド・セレクションはノーロードにならないのかなあと少し期待してます。他のネット証券等は全部ノーロードなんで。↓比較の結果。
http://www.fund-initiative.co.jp/servlet/FundSearchServlet?keyword=%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
2007-08-06
意味不明
2007-08-03
販売金額1兆18億円、純資産9488億円
郵政公社の投信販売、1兆円を突破・1年10カ月で (NIIKEI NET)
相変わらず勢いが続いております。
ところで、1兆18億円の販売に対して、純資産残高が9,488億円という数値を少し考えてみました。最初は、郵便局で買った人は、平均的に損しているのかなと単純に思ったのですが、多分配型が郵便局においても人気(もしくは力を入れている)であることを考えると、その分も影響しているのかなという気がします。
投資信託の経理のことはよくわかりませんが、分配金をださないほうがその分が留保され、販売会社にとっても信託報酬の受取って増えることになるのでしょうか?もしそうであれば、本来は多分配型が売らないほうがいいということになりますが、それよりも人気の多分配型を売って販売手数料をとったほうが割に合うという計算なのかもしれません。
ちなみに郵政公社は、取り扱う投資信託それぞれの販売金額や純資産残高も公表しているので、それぞれの販売金額に税抜販売手数料を掛けて合計したところ、18,147百万円となりました。
もし日本の個人投資家が、ノーロード以外は買わないということになれば、販売会社は、毎月分配型は絶対売らないという今と真逆の販売姿勢になるかもしれません。もっとも、そうなると、投信を売る旨みが半減するわけで、投信販売をしなくなるかもしれませんが。
ランキング参加中
2007-08-02
9回目の買付 ハイブS
2007-08-01
主要ネット証券・銀行の投資信託の販売手数料・信託報酬比較
新しいWEBサイト開設のお知らせです。
その名も「ファンド・イニシアティブ」。http://www.fund-initiative.co.jp/
社名そのまんまです。
主要ネット証券・ネット銀行(と勝手に判断)のSBIイー・トレード証券、イーバンク銀行、カブドットコム証券、ジョインベスト証券、ソニー銀行、投信スーパーセンター、マネックス証券、楽天証券で取り扱っている投資信託の販売手数料や信託報酬を比較するサイトです。
サイト設計には、シンプルさを第一にしました。トップページでファンド名等を入力し、検索結果画面で、どのネット証券・銀行で買えるかを表示する構成のみです。販売手数料や信託報酬などのコストを重視して選択することにフォーカスしました。
4月中旬ごろにJavaの勉強を始め、その後JSP、servlet、MySQL、javascript、CSS等の勉強を重ねてなんとか完成しました。パソコンは苦手だった上に、アドバイスをくれる人もいなかったため、いろんなWEBサイトや書籍を参考にした独学です。
そのため、少し問題も抱えています。
・エクスプローラーではほぼ思い通りに表示されるのですが、ファイヤーフォックスではCSSが少し乱れてしまいます。
・ローマ数字は文字化けしたので、例えば「Ⅲ」は、半角英字のIを三つつなげてIIIとせざるを得なかったです。
・「インド」と検索すると、なぜか「ライフポイント」のように「イント」が引っ掛かってします。(ローカルの環境では起こらなかったのに)
という風なことがあったのですが、全体的には上手くいったと思います。
ご利用のほど、よろしくお願い申し上げます。