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2007-03-22

いったいどこが「金持ち優遇」なんだ

本日付のフジサンケイビジネスアイに、首相諮問機関である金融審議会の「わが国金融・資本市場の国際化に関するスタディグループ」の記事が載っていました。
その中で、気になったのはやはり証券税制の部分です。
昨年末に1年間の延長が決まった証券優遇税制ですが、その後の税制をどうするのかとった議論はなかなか前に進んでいないようです。

本来なら、今年末の税制改正で優遇の1年延長が切れ、20%に戻すことで議論が進むはずだったが、国際化の議論の中では、優遇措置維持の意見も出始めた。ただ、実質減税となるこの措置は、国の財政健全化が叫ばれる中で、”金持ち優遇”ともいわれ、格差社会解消に向けた政権公約とは矛盾しないのかなど、再延長はきわめて厳しい。優遇税制一つをとっても、なかなか前に進まない状況といえる。

2007/03/22 フジサンケイビジネスアイ3面より引用

優遇反対派が持ち出してくる論点は、
①サラリーマンが増税を押し付けられている一方で、富裕層に恩恵が集中する証券優遇税制は「格差拡大」を招く。(共産党など)
②他の金融商品との公平性が損なわれる(財務省など)
といったところです。

①について、共産党は、証券優遇税制により、申告所得額が100億円を超えるわずか7人の富裕層に一人あたり28億6000万円もの減税が行われていると主張してます。
しかし、なんでそれがイコール金持ち優遇になるのか全然理解できません。その数値が事実だったとしても、それ以外の人(所得の少ない私でさえ)でも公平に恩恵がある(あった)はずです。証券取引が金持ちの利殖手段だとしか考えられない発想の貧困さに驚くばかりです。山本有二金融担当大臣は、「証券税制は一律課税で、株式取引をおこなう世帯の半数以上が年収700万円未満。決して富裕層(優遇)税制ではない」と述べており、その通りだと思います。

②について、財務省は財政健全化のなかで証券税制のみ優遇されるのは中立性を欠くなんて主張しているようですが、なんでリスクをとって資産運用してるのに預金と同じ税率を適用されなければならないのか、理解できません。結局税金を多く徴収したいがために、”中立性”なんて言葉を持ち出しているに過ぎないと思います。税収を上げたいのなら、税率を増やすのではなく、投資家層を2倍3倍に増やせばいいじゃないですか。「貯蓄から投資へ」ってそういうことじゃないの?と感じます。

企業が従業員への利益配分を増やさない、増やしにくい環境へになっているのは明らかです。銀行は、企業の資金需要が少なくなって、預金金利を上げにくい状況です。もはや、一般国民にとって、自分で資産運用を行うことは必須になりつつあります。

そんななかで、金持ち優遇だと騒いで、証券税制の優遇をやめてしまったら、
給料は増えにくい
預貯金利子は低い
頼みの綱である証券投資もメリットがない
ということになり、余計に格差が拡大するだけです。

今後の「わが国金融・資本市場の国際化に関するスタディーグループ」の議論を注意深く見守っていきたいです。

ちなみに、金融業界は優遇税制に頼るのではなく、本業のサービスで顧客に応える努力をするべきであることも付け加えておきます。

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